うず潮(1952年)

                      

作品紹介

戦争未亡人高浜千代子(月丘夢路)と小谷仙子(草間百合子)は生活に道を拓くために上京した。彼女らの前に現れた千代子の兄の知人、杉本晃吉(若原雅夫)の男らしい物腰は仙子の心を惹き、彼に接近するための努力を重ねさせたが、晃吉は笑って取り合おうとしなかった。彼の心は、むしろ千代子の上にかたむいているのだった。当の千代子は愛児悠一(松本恒夫)を谷村女史(三宅邦子)の経営する保育園に預け、料亭「銀峰」の女中に住み込んだが、主人雄作(柳永二郎)の露骨な野心が彼女の日々を痛苦なものとした。ついに耐えかねて晃吉の家へ逃れた千代子は、つもる精神的疲労からフラフラと倒れてしまった。甲斐甲斐しくいたわる晃吉の口から熱情に充ちた求愛の言葉がささやかれたが、亡夫の想い出と子供への愛情にだけ生きる彼女は、それをも振り切り、外に飛び出した。「銀峰」の勤め先は主人との仲を誤解したその女房の怒りによって、すでに閉ざされていた。消息を絶った千代子を晃吉がやっと探し当てた時は、彼女は病床に伏していた。。。

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