南十字星(1941年)

井上・月丘映画財団

スタッフ・キャスト

監督 : 松井稔
脚本 : 京都伸夫
原作 : 豊田実
撮影 : 橋本留次郎
音楽 : 津久井祐喜
美術 : 田中輝夫
録音 : 高橋太郎
照明 : 坂口菊太郎
出演
月丘夢路
園井恵子
藤原義江
虹麗子
若本一郎
東雲千鶴子

製作

宝塚映画

作品紹介

牧原美津子、大崎義子、安田節子は医学専門学校を卒業した。優秀な成績で医専を卒業した美津子は女医として津田病院に勤務することになった。美津子の同窓生である義子は朝鮮の田舎の院長である従兄の杉本泰雄との縁談が持ち上がっていたが、都会生活を捨てることが出来なかった。けれども、義子は美津子に諭されて朝鮮に居る杉本の許へ出発した。美津子は義子の見送りの帰途で許婚の医師・吉田周二から突然蘭印のパダヴィアで病院を開業している叔父が死亡した為に後継者として蘭印に行く事を聞かされた。義子には朝鮮行きを勧めた美津子だったが、扨て、自分の事となると都会生活を捨てて周二と蘭印へ行く決意が鈍るのだった。周二は美津子に自由を与える為に、許婚解消の手紙を残して、独りで蘭印に出発した。美津子は自分の優柔不断を恥じた、恥じ乍らも北回帰線と赤道を越えて行く決意がつかなかった。美津子と義子の同窓生である安田節子は研究室に残って地味な基礎医学を学んでいたが、「蘭印は日本の生活圏である。『南方への行動』の時代だ、それには教養ある知識女性が日本女性の先頭に立ち上がって『赤道を越える』必要がある。」と、美津子に説くのだった。美津子は「南進日本女性の発展」という理念が分かり乍らも実践が出来ずに悩んだ。そんな美津子の悩んでいる姿を見兼ねて、下宿先の叔母である牧原カヤは休暇に伊豆にある末寺へ静養に行く様に勧めてくれた。伊豆で美津子は嘗て病院の知り合いの秋本里枝に会った。病気療養中の令嬢を見舞っている内に、秋本里枝の弟である健三を知った。美津子が東京へ戻ってくると秋本里枝から健三の嫁として結婚話を持ち込まれた。叔母のカヤは良縁だとこの縁談を勧めたが、許婚の周二の事を思うと美津子は困惑した。美津子の叔父で崇願寺の住職である牧原鐵心はそんな美津子を朝鮮旅行に連れ出した。美津子は朝鮮の田舎で開業している杉本医院に嫁いだ義子を訪ねた。美津子は久し振りに再会した義子がそこで夫の杉本泰雄と共に、半島同胞の為に健気に血みどろになって働いている姿に接して深い感動を覚えた。そして、自分の医師としての使命をはっきりと悟るのであった。朝鮮旅行からの帰りの電車で美津子は秋本健三と彼の友人の高井重雄に会った。高井は声楽家である篠原義人の友人でもあり、通訳を兼ねて義人の蘭印での慰問公演からの帰京の途中だった。美津子は高井から日本と蘭印との友好親善の為に貧困と闘い乍ら現地で活躍している許婚の周二の話を聞かされた。その後、或る夜に篠原義人の公演会が開かれた。義人は密かにその収入で周二を援助しようと考えており、美津子が周二の許婚である事と南方へ行く美津子達の心を知った義人は、舞台の上から『南進日本女性の歌』を声高らかに歌って美津子を激励した。

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