マダム(1957年)

マダム

スタッフ・キャスト

製作:児井英生
監督:阿部豊
脚本:沢村勉
脚本:中沢信
原作:織田昭子
撮影:峰重義
音楽:斎藤高順
美術:木村威夫
録音:沼倉範夫
照明:安藤真之助
編集:辻井正則
製作主任:亀井欽一
スチール:坂東正男
配役    
矢田秋子:月丘夢路
忍:堀恭子
杏子:村田杏子
みどり:泉桂子
けい子:筑波久子
紀子:多摩桂子
順子:浦島久恵
市子:藤代鮎子
尾崎:八代康二
村岡:花村典克
鈴木:安部徹
中原:二本柳寛
マキ:小園蓉子
藤巻:葉山良二
増岡みよ:左幸子
お茶屋の女将:坪内美詠子
矢田作之介:金子信雄
課長:雪岡純
矢田家の女中:渡のり子
白川公子:東恵美子
杉浦浩一:岡田真澄
おせい:田中筆子
林ふさ子:細川ちか子
ルミ:広岡三栄子
桜信吾:近藤宏
紺野:中川晴彦
ジュリー:山田美智子
バーテン:近江大介
着流しの男:佐野浅夫
カール:二谷英明

製作

日活

作品紹介

矢田秋子は銀座でも一流のバア“ナシサス”のマダムである。この酒の香と紫煙のうずまく世界には毎夜色と欲のさまざまな花が咲く。赤裸々な男女の人間像に、秋子はこの世を割切って暮しているつもりでも、ふと昔のことを思い出すのであった--彼女はかつて流行作家矢田作之介の愛人であった。しかし、矢田は秋子を愛しながらも、他に何人も女をこしらえた。その上彼は酷いヒロポン中毒であった。それでも、彼女は命がけで矢田に惚れていた。矢田が死ぬと急に周囲は彼女に冷くなった。彼女が正式に妻の座についていなかったからだ。そんな秋子をかばってくれたのは女流作家林ふき子であった。生きるために大阪でバアを開いた秋子は、矢田の生前から秘かに彼女を思慕していた豪商の一人息子で画家志望の杉浦の情にほだされて、二人で東京に駈落ちした。だが、生活力のない杉浦との同棲はたちまち破たんを来した。林ふさ子の忠告もあり、彼女は一人で強く生き抜こうと、中原というある大会社の重役から資金をかりて東京でバアを開いた。これが“ナシサス”であった。ところが、中原は秋子に欲望を抱いて、融資した三百万円の返済をたてに魔手をのばして来た。彼女は金策に奔走したが、ついに方策つきて、中原に呼ばれた待合で自潮的に酒をあおるのであった。酔った秋子に中原の手がのびた瞬間、襖が開いて三百万円の小切手を手にいまは勘当のとげた杉浦が駈けこんできた。そして、感謝に言葉もない秋子に、彼は「ぼくの心の中の秋子に対するほんの餞けや」ときれいに去って行った。秋子は、ひとり、所詮マダム業よりは、妻の座の方が幸福ではなかろうか、と今は、しみじみと心に思っていた。

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