今宵別れて(1949年)

井上・月丘映画財団
                    

スタッフ・キャスト

製作:糸屋寿雄
監督:高木孝一
脚本:柳井隆雄
撮影:竹野治夫
音楽:大沢寿人
出演
月丘夢路
浜田百合子
飯野公子
宇野重吉
山内明

製作

松竹京都

作品紹介

騎手信太郎は淀の競馬に出場のため北海道から遠征した。一つには幼いとき不幸な別れ方をした弟二郎が淀の厩舎にいるといううわさを耳にしたからでもあった。二郎は淀の厩舎で新進騎手として母ゆきと暮していた。二郎は幼いときゆき夫婦に拾われ、騎手であった夫の死後ゆきは女手一つで二郎を育て、二郎はこれを知らず母子は真の親子のように暮らしていた。同じ厩舎の調教師良作の娘千代は可れんな娘で、二郎と千代は愛しあっていた。いよいよ競馬は近ずいた。淀ホテルには見知らぬ美しい女が人目をひいた。彼女二葉はパトロン安井に裏切られ、安井は今度の競馬に持馬を新しい情婦の名をつけて出場させた。しっとに燃えた二葉は安井の馬を敗北させて腹いせをしたく、その騎手二郎に近ずいて彼をろうらくしようとした。美しい中年女の魅力と手練にいつか二郎は夢中になった。これを知ったゆきと千代は心配したが、二郎の心は放馬の如く二葉にかたむいた。競馬場に来た信太郎は二郎が弟であることがハッキリするとともに、一切の事情を知り、二郎たちを不幸にする二葉を憎み、彼自身二葉に接近して二郎を救おうと思う。二葉も信太郎に興味をもった。そして信太郎の計画は成功するかに見えたが、二郎は恋がたき信太郎の出現で、心すさんだ。ある夜、信太郎と助手との話から、信太郎の真意をぬすみ聞いた二葉は、己のみにくさに悔いた。レースの前夜、二郎は二葉に、敗ければおれのものになるかと迫ったが、今や二葉は、敗けてくれなくてもいいという、二郎は裏切られたと思い、その夜酒場でヤケ酒をあおる。信太郎は酒場に現れ、二郎に、明日のレースに自信がないのでヤケになってるんだろう、とバ倒した。二郎は憤然とした、信太郎はひそかに喜こんだ。やがて翌日、レースははじまったが、二郎は二葉への怒りと信太郎への敵慨心で燃え、ついに二郎が優勝した。千代もゆきも、そして信太郎もよろこんだ。レースは終った。だが信太郎は二郎に兄だと名乗らなかった。そのころ二葉は二郎たちの厩舎を訪ね、信太郎が兄であったこととすべてのいきさつを話した。ゆきも始めて二郎に過去を語った。二郎の驚ろき、そして信太郎の愛情が胸をうった。二葉は二郎にわびて千代との幸福を祈った。--放心した二葉の部屋を訪れたのは信太郎だった。互の目は、すべてを許して近づいていった。

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