栄光への道(1950年)

                  

スタッフ・キャスト

製作:小倉浩一郎
製作:杉山茂樹
監督:中村登
脚本:菊島隆三
撮影:服部幹夫
音楽:鈴木静一
出演
鶴田浩二
月丘夢路
笠智衆
安部徹

製作

松竹京都

作品紹介

元ある大学の名外野手だった永井は、復員すると先輩の松本監督を頼って阪神軍に入った。新婚早々永井を戦地に送って丸四年、待ちに待った妻の眞佐子は二人きりの生活をする喜びに胸をふくらませていたが、永井は甲子園の初練習、別府の冬季練習と続けなければならなかった。別府で永井は新しいポジションとしてショートを与えられた。松本は永井の強肩を買って日本一のショートに育てるつもりだった。猛練習は続いた。かくて永井はひたすら野球道に専念し毎日の様に疲れて帰宅すると死んだ様に寝てしまう。眞佐子はその様な夫を理解しようとするのだが、どうにもならないのは、二十五歳の肉体だった。眞佐子の生理的不満は日に増した。こうして眞佐子の不満がどうにもならなくなったとき、これを救ったのは梅雨季の雨だった。永井は眞佐子を紀州の白浜に誘った。新婚旅行の様にしばらくぶりで眞佐子は楽しかった。街の射的場でボール投げに興じているとき、永井は肩をいためたが眞佐子はそれも知らず、少女のようにはしゃいでいた。帰宅後の晴れの試合に出場した永井は、大事な最終回、勝負を決する大暴投を演じてしまった。悄然とした永井の肩にべっとり張られた膏薬を見た松本は叱咤した。ある日永井の留守に同僚の奥村が見舞いに来、眞佐子ははじめて白浜の失敗を知らされ、夫を理解しなかった自分を知り、永井に謝罪するとともに、再び選手として立ち直るように激励するのだった。翌日永井は久し振りに明るい顔で甲子園に行くが、スタンド下の喫茶店で、奥村と永井のプレーを非難している木村の言葉を聞く。そして先日の一銭に大金をかけて損をしたという木村の言葉に、カッとなった永井は木村に一撃を加え、胸のバッチをもぎとってたたきつけた。野球を放棄した永井は毎日就職にあるいたが、どの会社も相手にしなかった。野球より生きる道はないのか、彼はくりかえし考えた。そしていつか雨の甲子園に来ていた。傘をさしてショートの位置に立って回想にふける永井、その肩をそっとたたいたのは松本だった。松本は永井の胸にバッチをつけると、しっかりと永井の手を握るのだった。

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